> 傍脊柱・腸腰筋・硬膜外膿瘍

<症例1:傍脊柱膿瘍>
 60代男性。元々、糖尿病 (DM) の既往がありコントロールが不良であった。
 2週間前より右側腹部痛・腰痛生じ、徐々に歩行困難、両下肢浮腫、弛張熱生じるようになり当院受診、精査の結果、傍脊柱膿瘍(胸椎)の診断で入院、洗浄・ドレナージを行った。
 起炎菌は黄色ブドウ球菌で、抗生剤は約10週間使用し感染徴候は完全に消失、退院した。
 術後8年経過した現在も、特に再発はみられず経過良好である。

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術前MRI

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術前造影3DCT

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術後X線

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術後1ヶ月MRI

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術後2ヶ月CT

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術後2ヶ月X線

<症例2:傍脊柱・腸腰筋・硬膜外膿瘍>
 50代男性。2週間ほど前より腰痛生じ近医にかかったがぎっくり腰といわれたため様子を見ていた。1週間前より熱発、徐々に歩行困難となってきたが風邪と考えて自宅で安静臥床していた。家族が訪ねていった際、起き上がることもできない状態であったため救急車で当院受診した。40°の不明熱、両上下肢麻痺を認め下肢はほとんど知覚も脱失していた。精査の結果、C2からSに至る硬膜外膿瘍、腰部傍脊柱・腸腰筋膿瘍、膿胸、敗血症と診断した。直ちに膿胸に対しては持続的胸腔ドレナージを行い、脊椎部の感染症に対しては緊急手術にてドレナージを行った。
 手術はC2, 7をドーム状に形成し、C3-6、T1, 3, 5, 7, 9, 11椎弓切除、腰椎部は開窓術で硬膜外膿瘍を可及的に除去した。傍脊柱筋・腸腰筋の切開・排膿、感染組織のデブリドマン、大量の洗浄を行い、ドレーンを4本留置した。膿は白色で粘稠であり、吸引で除去することが困難な性状であった。術後は抜管せずICU管理とし、γ-グロブリン製剤・抗生剤の全身投与、中心静脈栄養等を行い、何とか救命することができた。
 
 培養の結果は黄色ブドウ球菌であった。抗生剤は適宜変更して使用、徐々に全身状態の改善を認め、胸腔ドレーンからの排膿も減少、胸部X線・CTにて経過観察を行い、排膿がなくなった時点で抜去した。また、気管内挿管も呼吸・全身状態の安定を待って抜管した。
 嚥下造影を行い、嚥下可能となった時点から、ゼリーから嚥下訓練を行い、ほぼ常食が可能な状態まで改善した。
 膿胸は改善し、喀痰培養から菌が検出されているが発熱・炎症反応は認めない。脊椎部の感染の再燃も認めておらず、上肢の麻痺もほぼ実用的レベルまで回復、下肢は立位訓練が行える状態となり、リハビリテーション病院へ転院した。

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初診時胸部X線&CT

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初診時頚椎MRI

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初診時胸椎MRI

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初診時腹部造影CT

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術後3ヶ月胸部X線&CT

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術後3ヶ月頚椎MRI

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術後3ヶ月胸椎MRI

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術後3ヶ月腹部CT

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