> 頚椎後縦靭帯骨化症 (頸椎OPLL)



 脊椎椎体の後面を縦に連結している靱帯(後縦靭帯)が、通常の何倍もの厚さになり、なおかつ骨の様に硬くなり(靱帯の骨化)、徐々に脊髄を圧迫してくる病気です。原因は不明ですが、機械的ストレスに対してそれに対抗しようと骨化する体質的なものが考えられており、そのため家族性があり(患者の兄弟に靭帯骨化症が認められる確率は約30%)、機械的ストレスは増悪因子となります。50歳前後で発症することが多く、男女比では2:1と男性に多く、また、糖尿病の合併が多いことも知られています。
 骨化があっても必ずしも症状が発現するとは限らず、何年もかけてゆっくり増大するため脊髄をかなり圧迫してきても無症状であったりするため、気づかれにくい面があります。
 症状は、上肢のしびれ・疼痛、物を落としたり細かい動作がしずらくなる(巧緻運動障害)、また進行すると歩行障害も生じてきます。
 当院は救急病院のため、道で転倒するなどの比較的軽い外傷にもかかわらず、急激に四肢麻痺などの極めて重い症状が出現し救急車で運ばれて初めて頸椎OPLLと診断されることが少なくありません。その場合は、脊髄損傷の状態となっているため、手術を行っても、外傷の前に手術を行った場合と比較し予後は不良となります。

 手術の適応は、脊髄の圧排が明らかで、ある程度神経症状が出現してきた場合に行います。手術の方法は、大きく前方と後方に分かれますが、骨化の状態や頸椎のアライメントによって個々の症例に一番適した手術法を選択します。

脊柱靱帯骨化症は国が難病医療費等助成対象疾病に認定しており、治療費の補助が受けられます。
詳細はこちら→「厚生労働省 平成27年1月1日施行の指定難病 (新規):通し番号 35, 公示番号 69 後縦靭帯骨化症」


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