> 重症・難治例


 脊椎圧迫骨折は通常、矢状面(前後方向)での損傷であり偽関節(骨がつかなくなった状態)となっても矢状面の不安定性しか生じないが、終板損傷から椎間板・椎間関節にまで損傷を生じてくると水平面での不安定性(回旋やすべり)を生じる様になる。症状も激しい背部痛や下肢痛、動作時の電撃痛等を生じるようになり、寝たきりで食事もままならないこともめずらしくない。治療も、不安定性が高度で大きな骨欠損を伴うことが多いため非常に困難となる。
 言わば、”脊椎が分離しているような状態”に近く、一般の圧迫骨折とは区別すべき病態と考えている。

<症例1>
 60代女性。約2年前に転倒受傷。他院でL1圧迫骨折の診断で保存療法施行していたが徐々に動けなくなり3ヶ月ほど入院加療を行った。その後、老人専用マンションに入所し訪問診療を受けていたがほぼ寝たきりの状態となり食事も摂れなくなってきたため当院に入院した。初診時、身長155cm, 体重28kg、L1, 3圧迫骨折とL2/3間で右側屈・回旋変形を認め、背部痛・不安定感から起き上がることができない状態であった。また、前屈で胃部の圧迫感を生じるためか食欲がなく低栄養であった。栄養状態の改善を待って手術(後方侵入前方固定術)を行った。硬性コルセット装着にてリハビリテーション加療し、体重は36kgに増加、キャスター歩行が可能となり術後2ヶ月で退院、現在外来通院加療中で経過良好である。

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術前X線

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術前3DCT

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術前MRI

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術後X線

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術後3DCT

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術後MRI

<症例2>
 80代女性、ベッドを持ち上げて受傷。他院でL3圧迫骨折の診断で保存療法を受けるも車イス生活となり受傷後3ヶ月で精査目的に当院入院した。L2/3間の不安定性が著明であり手術適応と判断したがセカンド・オピニオンを希望され複数の病院受診、最終的に大学病院受診しL5に圧迫骨折の変化があるため保存療法を勧められ療養施設へ転院した。しかし、L1, 2, 3, 5の椎体圧潰が進行し状態はさらに悪化、ほぼ寝たきりとなったため家族・本人の強い希望もあり、受傷後5ヶ月で当院に再入院し手術を行った。
 術後疼痛は改善し、短い距離ならば自立歩行が可能な状態となり、現在外来通院加療中である。

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初診時X線

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術前X線

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術前MRI

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術後X線

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術後MRI

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