> 脊髄損傷(骨傷あり)

 骨折や脱臼など骨傷を伴う脊髄損傷の場合は、脊髄に対する機械的ストレスが強く、またその不安定性のためにさらなる狭窄・脊髄の圧迫を生じる危険性が高いため緊急手術に準じた対応が必要になります。

<症例1>
 60代男性。階段で後方に転落し受傷。手関節掌屈・手指・両下肢の筋力低下 (MMT 1-2, C7以下の不全麻痺) となり救急車で当院に初診、C5前方脱臼・頚髄損傷と診断しステロイド使用下に緊急手術を施行した。手術はスペーサーによる脊柱管拡大術とスクリューによる後側方固定術を施行、術後は頚椎カラー固定とした。リハビリテーション加療により麻痺は良好に改善し、支持なし歩行が可能となって退院した。

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<症例2>
 50代男性。3mの高さより人が落ちてきて下敷きとなり受傷。手指の屈曲不能・両下肢麻痺 (C8以下の完全麻痺) となり救急車で当院に初診、C6脱臼骨折・頚髄損傷と診断しステロイド使用下に緊急手術を施行した。極めて不安定性が強いため手術は前方後方同時固定術を選択、術後はハロー固定とした。
 脊髄損傷の程度が重く術後、無気肺・肺炎による呼吸障害を生じたためICU管理とし挿管・気管支鏡下による吸引・洗浄、抗生剤の投与等行った。徐々に全身状態の改善を認めたが、仙骨部褥創による弛張熱を生じるようになったため、筋皮弁術を追加した。
 最終観察時(術後3ヶ月半)、肺合併症・褥創は治癒し、バンド付きスプーンで食事が可能で、下肢の知覚も改善し介助による車イス移動を行っていたが、さらなる機能回復・ADL改善のためにリハビリテーション病院へ転院した。

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<症例3>
 70代女性。階段で後方に転落し受傷。四肢麻痺 (C5以下の完全麻痺) となり救急車で当院に初診、C4前方脱臼・頚髄損傷と診断しステロイド使用下に緊急手術を施行した。手術はスペーサーによる脊柱管拡大術とスクリューによる後側方固定術を施行、術後は頚椎カラー固定とした。
 脊髄損傷の程度が重く麻痺の改善は不良で、上肢がわずかに動かせる程度であり長期のリハビリテーション加療が必要な状態である。

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<症例4>
 60代男性。約2mの側溝に転落し受傷。四肢麻痺 (C8以下の不全麻痺) となり救急車で当院受診、C6脱臼骨折・頚髄損傷と診断し緊急手術を施行した。手術はスペーサーによる脊柱管拡大術とpedicle screwによる後側方固定術を施行、術後は頚椎カラー固定とした。
 リハビリテーション加療を行い、麻痺は良好に改善、現在支持なし歩行が可能でADL上特に支障ない。

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<症例5>
 90代女性。施設入所中ベッドから転落し受傷、四肢麻痺、呼吸不全生じ救急車で当院受診、C7脱臼骨折・頚髄損傷の診断で入院、緊急手術(後側方固定術 C7/T1, 椎弓形成術 C3-6)を行った。
 術後呼吸器管理を行っていたが、呼吸不全が続いていたため気切を行い、リハビリテーション加療後転院した。

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