> イリザロフ法とは?

 イリザロフ創外固定器, Talor Spatial Frameを用いた変形矯正術、骨延長術、関節固定術、関節授動術etc.

<対象疾患>
・骨髄炎
・偽関節
・変形治癒
・関節不安定症・関節症
・関節拘縮・強直
・種々の先天性疾患

<方法>
 下記のような創外固定器を用いて、組織を持続的に牽引し新しい組織を形成させる治療法です。また、その強固な固定性を利用して様々な分野に応用されています。

イリザロフ創外固定器

 1951年ロシアのG.A.Ilizarovにより開発されたもので、その優れた治療成績により世界各国での症例は100万例以上に及びます。骨を三次元的に定量的に移動し生体の組織再生を行います。
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橈側列形成不全に対するbifocal lengthening

Taylor Spatial Frame

 1994年J.C.Taylor, H.S.Taylorにより開発されたもので、イリザロフ創外固定器を一部改変し、2つのリングを6本の伸縮自在のストラットで連結し、より自由な三次元的移動を可能にしたものです。

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前腕骨延長

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大腿骨遠位骨端線損傷後の変形矯正


 治療にあたっては、専門的なトレーニングを積んだ、臨床経験のあるところで治療を受けることをお勧め致します。

イリザロフセンター(ロシア)証明書 イリザロフ法 Basc Course 証明書 イリザロフ法 Advanced Course証明書 イリザロフ法 Deformity Course証明書

> 症例:大腿骨顆上骨折術後偽関節

 30代女性。交通事故にて右大腿骨顆上部粉砕骨折に対し手術を施行された。約1年経過するも骨癒合得られず、右股関節〜大腿部痛、歩行障害を生じるようになり当科受診した。X線・CT等にて内固定材のloosening、約4cmの骨欠損、股関節の内旋変形・拘縮認めた。
 大きな骨欠損が存在するため、通常、骨盤や下腿からの骨移植術が必要であるが、最初の手術時に採骨部 (腸骨) の術後感染を生じ再手術を行った経緯があり、骨移植を患者が望まなかった。そこで、骨移植を行わないで済むイリザロフ法による骨延長術を選択した。
 内固定材を抜去し、不良肉芽・仮骨・メタローシスを掻爬・切除し荷重がかけられる様に偽関節部を形成、一期的に短縮した後、大腿骨近位にて骨切りを行い、骨延長行うためのTaylor Frame創外固定器を装着した。45日間に45mmの骨延長と約30°の股関節内旋変形を矯正した。
 最終観察時(術後1年)、正座は困難であるが良好な関節可動域・アライメント・骨癒合を認め、疼痛なくADL・ 仕事上特に支障ない。

 この症例のように大きな骨欠損を生じた場合には、通常の骨移植を併用した固定術が困難となります。なぜなら、採取する骨盤や腓骨の犠牲が大きく、また骨癒合が得られたとしても十分な強度が得られず内固定材(金属)を抜去できないことも少なくないからです。イリザロフ法は、時間がかかりますが、骨・軟部組織を作り出すことができるため骨移植が不要で、元の骨に近い状態にできるメリットがあります。
 

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Taylor Spatial Frame

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術前X線

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術前3DCT

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術後X線

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骨延長終了時X線
(45日間, 45mm 骨延長, 30°内旋変形矯正)

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術後4ヶ月X線
(創外固定抜去)

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術後8ヶ月X線
(最終観察時)

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膝の屈伸
(最終観察時)

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